ディスクロージャーワーキング・グループでの議論
ディスクロージャーワーキング・グループとは金融庁金融審議会の分科会で、金融担当大臣の諮問を受け、有識者がディスクロージャー(企業内容等)開示制度の在り方について検討する組織です。
2021年12月1日に第3回となるディスクロージャーワーキング・グループが開催され「コーポレートガバナンスに関する開示」について議論されました。
(参考:https://www.fsa.go.jp/singi/singi_kinyu/disclose_wg/siryou/20211201/01.pdf)
今回はその中から指名委員会の審議内容について、資料の中で投資家からの意見を回収した部分について書いていきたいと思います。
実際の審議内容と投資家の期待する審議内容のギャップについて
まずは資料p.18の「取締役会・委員会の状況③(指名委員会に関する投資家の意見)」を弊社側でまとめたものをグラフで示す。
まず、投資家のうち20%しか求めていない審議内容が「役付取締役の選定/解職/職務分担」と「その他の取締役の業績評価」であるにも関わらず、企業側は前者について70%超の企業が、後者は40%の企業が議論に時間を割いている。
そして反対に投資家が審議充実が必要と考えているテーマである「社長・CEOの業績評価」「社長・CEOの後継者計画」については前者が82%、後者が70%もの投資家に求められているにも関わらず、実際は前者38%、後者51%しか議論がなされていない。
特に「社長・CEOの業績評価」を実際に審議している企業の割合は投資家の期待との乖離が最も大きく、今後より一層の審議が求められているポイントであると言える。
社外取締役の独立性の確立が急がれる
上の結果から権力を持ったCEOに対して批判的な評価を行うことの難しさが見てとれる。
しかしその考えはコーポレートガバナンスの基本的なあり方とはほど遠く、取締役会内でのより一層の公平な審議、言い換えれば忖度のない議論が必要であろう。
以前の記事でも述べたことであるが、独立性の高い社外取締役の増加が求められていると言えるだろう。