今後は弊社の保有する既存の社外取締役データベースに加え、株価データを取得することで社外取締役と株価の関係を紐解いていこうと考えております。
今回はその中でも2021年末と2022年末の株価を騰落率で並べ下落率の高い企業の社外取締役にフォーカスしてみたいと思います。
※IPO初期の株価変動を除外するために2017年末時点に上場していた企業に限定して調査しております。
※データベースに不備がある可能性もありますので誤りを発見いただいた方はご連絡をいただけますと幸いです。
まずは株価下落率ランキングを見ていきましょう
株価下落率ランキング
2020年末から2021年末での株価下落率ランキング(金融〈除く銀行〉業界)
順位 社名 変化率
1 株式会社アドバンテッジリスクマネジメント -46.1%
2 マネックスグループ株式会社 -40.5%
3 GMOフィナンシャルホールディングス株式会社 -39.5%
4 株式会社アイリックコーポレーション -35.0%
5 藍澤證券株式会社 -32.8%
6 アニコムホールディングス株式会社 -30.0%
7 光世証券株式会社 -28.2%
8 株式会社日本取引所グループ -24.7%
9 今村証券株式会社 -24.5%
10 極東証券株式会社 -23.1%
2021年の金融〈除く銀行〉業界に属する企業の株価パフォーマンスは上昇38社、下落38社と同数でした。
トップ2社の社外取締役について詳しく見てみます。
株式会社アドバンテッジリスクマネジメント
2023年7月時点のコーポレートガバナンス報告書を確認すると、その時点での社外取締役は以下の4名いらっしゃいます。
岩佐朱美
1985年4月 日本アイ・ビー・エム㈱入社
2016年6月 同社コマース事業事業部長
2017年12月 ㈱イズミ入社 執行役員
2018年5月 同社未来創造推進本部長兼チーフデジタルオフィサー
2019年2月 同社顧問
2019年6月 アマゾンジャパン合同会社入社
2019年7月 同社ファッション事業部長
2021年2月 Man to Man ㈱入社 最高デジタル責任者兼戦略推
進担当(現任)
2023年6月 当社社外取締役(現任)
ソフトウェア製品の法人向け営業やその組織運営業務に携わるとともに、デジタル・マーケティング領域の事業責任者を務めるなど、法人営業・マーケティングに関する豊富な知見を有しており、当社の経営に反映していただくため、また、当社から独立した立場にあり、当社のコーポレート・ガバナンスの一層の強化を図るため、社外取締役に選任いたしました。
堀越直
1973年4月 ㈱日本長期信用銀行(現㈱SBI新生銀行)入行
1981年9月 同行国際部副調査役
1986年5月 同行東京営業第一部部長代理
1990年7月 ドイツ長銀出向
1995年4月 同行マーケット管理部副部長
2001年5月 同行法人戦略本部次長
2005年2月 当社社外監査役
2006年6月 当社常勤社外監査役
2009年9月 ㈱フラッグアドバンテッジ(現㈱ARM総合研究
所)監査役(現任)
2022年6月 当社社外取締役 常勤監査等委員(現任)
長年に亘る銀行勤務を通じて企業財務・会計に関する豊富な経験・識見を有しており、当社の経営に反映していただくため、また、当社から独立した立場にあり、当社のコーポレート・ガバナンスの一層の強化を図るため、監査等委員である社外取締役に選任いたしました。
寺原真希子
2000年4月 長島・大野・常松法律事務所入所
2003年5月 銀座シティ法律事務所入所
2008年1月 メリルリンチ日本証券㈱入社
2010年9月 榎本・寺原法律事務所(現弁護士法人東京表参道
法律会計事務所)共同代表(現任)
2018年6月 当社社外取締役
2019年3月 日本フェィウィック㈱社外取締役(現任)
2021年10月 イオンリート投資法人監督役員(現任)
2022年6月 当社社外取締役 監査等委員(現任)
2023年5月 ㈱高島屋社外監査役(現任)
弁護士としての豊富な経験・識見を有しており、当社の経営に反映していただくため、また、当社から独立した立場にあり、当社のコーポレート・ガバナンスの一層の強化を図るため、監査等委員である社外取締役に選任いたしました。
須田宏一
1979年4月 日本電通電話公社(現日本電信電話㈱)入社
2005年7月 同社理事 ネットワークサービスシステム研究所長
2007年4月 NTTアドバンステクノロジ㈱入社 理事 コミュニケーションシステム事業本部副本部長
2008年6月 同社取締役 グローバルプロダクツ事業本部長
2012年6月 同社取締役 アプリケーションソリューション事業本部長
2016年4月 同社取締役 クラウドソリューション事業本部長
2017年4月 同社取締役 クラウドIoT事業本部長
2017年6月 NTT-ATテクノコミュニケーションズ㈱代表取締役社長
2019年6月 同社相談役
2022年6月 当社社外取締役 監査等委員(現任)
大手通信事業会社におけるソフトウェア開発業務に携わるとともに、当該会社の関係会社で代表取締役を務めるなど、豊富な経験・識見を有しており、当社の経営に反映していただくため、また、当社から独立した立場にあり、当社のコーポレート・ガバナンスの一層の強化を図るため、監査等委員である社外取締役に選任いたしました。
マネックスグループ株式会社
2023年6月時点の有価証券報告書を確認すると、その時点での社外取締役は以下の7名いらっしゃいます。
槇原 純
1981年9月 ゴールドマン・サックス証券会社入社
1992年12月 ゴールドマン・サックス・アンド・カンパニー ゼネラルパートナー
2000年7月 株式会社ネオテニー取締役会長
2005年3月 RHJ International取締役
2006年6月 当社取締役(現任)
2011年6月 TradeStation Group, Inc.取締役(現任)
2011年6月 株式会社新生銀行(現株式会社SBI新生銀行)取締役
2014年9月 Philip Morris International Inc.取締役(現任)
槇原純氏は、日米において長年投資銀行ビジネスやインターネット関連企業の育成に携わり、高度な金融知識を はじめインターネット事業および金融事業に対する深い理解を有しています。その豊富な経験・見識に基づき、 当社取締役会において国内外の金融業界の状況も踏まえながら多くの提言・助言を行っています。さらに筆頭独立社外取締役として、取締役会のみならず、報酬委員会委員長、指名委員会委員としても強力なリーダーシップ を発揮しており、モニタリングボードの要として当社に大きく貢献しています。在任年数は17年と長期にわたるも、当社として長期的な在任期間がすなわちガバナンスの機能を損なわせるとはとらえておらず、当社に関する知見の深さから取締役会を牽制する立場として、議論を活性化し取締役会の実効性向上に貢献していると判断し、社外取締役に選任しています。
また、当社経営陣との間で特段の利害関係がなく、経営陣から独立した客観的・中立的な立場から社外取締役としての職務を適切に遂行されていることから、一般株主と利益相反を生じるおそれがないと判断し、独立役員に指定いたしました。
石黒 不二代
1981年1月 ブラザー工業株式会社入社
1988年1月 株式会社スワロフスキー・ジャパン入社
1994年9月 Alphametrics, Inc.社長
1999年1月 Netyear Group, Inc.取締役
1999年7月 ネットイヤーグループ株式会社取締役
2000年5月 同 代表取締役社長
2013年6月 株式会社損害保険ジャパン監査役
2014年3月 株式会社ホットリンク取締役
2014年6月 当社取締役(現任)
2015年6月 損害保険ジャパン日本興亜株式会社(現損害保険ジャパン株式会社)取締役
2021年5月 ウイングアーク1st株式会社取締役
2021年6月 ネットイヤーグループ株式会社取締
役チーフエヴァンジェリスト(現任)
2021年6月 セガサミーホールディングス株式会社取締役(現任)
2022年6月 株式会社商工組合中央金庫取締役(現任)
2023年6月 三井物産株式会社取締役(現任)
石黒不二代氏は、IT、特にデジタルマーケティングへの造詣が深く、また、上場企業経営者として長年にわたる企業経営の経験を有しています。その豊富な経験・見識に基づき、当社取締役会においてデジタル化が進む経済 環境下における顧客サービスのあり方等、将来を見据えた積極的な提言・助言を行っており、当社に資するところが大きいと判断し、社外取締役に選任しています。
また、当社経営陣との間で特段の利害関係がなく、経営陣から独立した客観的・中立的な立場から社外取締役としての職務を適切に遂行されていることから、一般株主と利益相反を生じるおそれがないと判断し、独立役員に指定いたしました。
堂前 宣夫
1993年4月 マッキンゼー・アンド・カンパニー・インク・ジャパン入社
1998年9月 株式会社ファーストリテイリング入社
1998年11月 同 取締役
1999年7月 同 常務取締役
2004年11月 同 取締役副社長
2005年11月 同 取締役
2008年11月 同 上席執行役員
2008年12月 FAST RETAILING FRANCE S.A.S. President
2010年8月 FAST RETAILING USA, Inc. CEO
2016年6月 株式会社ディー・エヌ・エー取締役
2016年6月 当社取締役(現任)
2019年2月 株式会社良品計画上席執行役員
2019年5月 同 専務取締役
2021年9月 同 代表取締役社長(現任)
堂前宣夫氏は、国内外においてオンラインとリアルの両側面から一般消費者向けに小売事業を展開し成長させた経験を有し、加えてグローバルな組織・業務システムや内部管理体制の構築に関わる深い経験を有しています。 その豊富な経験・見識に基づき、当社取締役会において事業の成長機会追求とリスク管理の両面から積極的な提言・助言を行っており、当社に資するところが大きいと判断し、社外取締役に選任しています。
また、当社経営陣との間で特段の利害関係がなく、経営陣から独立した客観的・中立的な立場から社外取締役としての職務を適切に遂行することが可能であり、一般株主と利益相反を生じるおそれがないと判断し、独立役員に指定いたしました。
小泉 正明
1987年10月 英和監査法人(現 有限責任 あずさ監査法人)入所
1991年8月 公認会計士登録
2003年9月 同 監査法人退所
2003年10月 小泉公認会計士事務所開設 同所所長(現任)
2004年6月 株式会社インターネットイニシアティブ監査役
2006年8月 双葉監査法人代表社員
2008年3月 ライフネット生命保険株式会社取締役
2010年6月 株式会社ツクイ監査役
2015年2月 株式会社キユーソー流通システム監査役(現任)
2016年6月 株式会社ツクイ取締役(監査等委員)
2016年11月 株式会社一家ダイニングプロジェクト監査役
2017年6月 石垣食品株式会社取締役(監査等委員)
2018年6月 当社取締役(現任)
2018年6月 株式会社ツクイ取締役
2020年10月 株式会社ツクイホールディングス(現株式会社ツクイ)取締役CSO
2021年10月 株式会社ツクイキャピタル取締役
2022年6月 同 監査役(現任)
2023年3月 株式会社ファンコミュニケーションズ取締役(監査等委員)(現任)
小泉正明氏は、公認会計士資格を有する財務会計の専門家であり、金融機関を含む企業の会計監査業務の経験や 企業の上場に関わる実務に携わった長年の経験を有しています。その豊富な経験・見識から、当社取締役会においてガバナンス機能の向上につながる積極的な提言・助言を行っています。さらに監査委員会委員長という重責も担っており、当社に資するところが大きいと判断し、社外取締役に選任しています。
また、当社経営陣との間で特段の利害関係がなく、経営陣から独立した客観的・中立的な立場から社外取締役としての職務を適切に遂行することが可能であり、一般株主と利益相反を生じるおそれがないと判断し、独立役員に指定いたしました。
金野 志保
1991年4月 弁護士登録
2005年6月 ヤフー株式会社監査役
2008年3月 アドバンスト・ソフトマテリアルズ株式会社(現株式会社ASM)監査役
2014年8月 特定非営利活動法人日本コーポレート・ガバナンス・ネットワーク監事
2015年3月 金野志保はばたき法律事務所開設(現任)
2015年6月 ワタミ株式会社取締役
2016年6月 株式会社カカクコム取締役
2017年6月 アルフレッサ ホールディングス株式会社取締役
2018年6月 株式会社新生銀行(現株式会社SBI新生銀行)監査役
2018年6月 当社取締役(現任)
2021年6月 株式会社LIXIL取締役(現任)
金野志保氏は、弁護士資格を有する法律の専門家であり、企業の業務執行にあたった直接の経験は有しておりませんが、数多くの上場企業の社外役員としての多様な経験を有し、加えて、弁護士業務を通じてコーポレート・ ガバナンスに関わる深い知識を有しています。その豊富な経験・見識から、当社取締役会において経営の透明性の向上、ダイバーシティに関する示唆、および監督機能の強化につながる積極的な提言・助言を行っており、当社に資するところが大きいと判断し、社外取締役に選任しています。
また、当社経営陣との間で特段の利害関係がなく、経営陣から独立した客観的・中立的な立場から社外取締役としての職務を適切に遂行することが可能であり、一般株主と利益相反を生じるおそれがないと判断し、独立役員に指定いたしました。
朱 殷卿
1986年4月 モルガン銀行入社
2001年5月 JPモルガン証券マネジングディレクター
2005年7月 同 金融法人本部長
2007年5月 メリルリンチ日本証券投資銀行部門 金融法人グループチェアマン
2010年7月 同 投資銀行共同部門長
2011年7月 同 副会長
2013年11月 株式会社コアバリューマネジメント 代表取締役(現任)
2015年6月 第一生命保険株式会社取締役
2016年10月 第一生命ホールディングス株式会社 取締役(監査等委員)(現任)
2021年6月 双日株式会社取締役(現任)
2022年6月 当社取締役(現任)
2022年9月 一橋大学大学院経営管理研究科客員教授(現任)
朱殷卿氏は、証券会社における M&A 戦略や財務・資本政策に関する高い知見、金融機関における企業経営者としての豊富な経験や人脈を有しています。また、上場企業の社外取締役監査等委員の経験も有しております。グローバル金融市場や投資銀行関連の知見に基づき、当社取締役会において適切な提言・助言を行っており、当社に資するところが大きいと判断し、、社外取締役に選任しています。また、当社経営陣との間で特段の利害関係がなく、経営陣から独立した客観的・中立的な立場から社外取締役としての職務を適切に遂行することが可能であり、一般株主と利益相反を生じるおそれがないと判断し、独立役員に指定いたしました。
久能 祐子
1983年4月 株式会社三菱化成生命科学研究所入所
1984年4月 新技術開発事業団(現科学技術振興機構)入所
1986年4月 上野製薬株式会社入社
1989年9月 株式会社アールテック・ウエノ共同設立
1996年12月 Sucampo Pharmaceuticals, Inc.共同設立 取締役会長兼CEO
2000年12月 S&R財団共同創立 理事長兼CEO(現任)
2012年10月 VLP Therapeutics, Inc.共同設立取締役(現任)
2014年1月 Halcyon Incubator共同設立 取締役
2015年6月 Johns Hopkins University理事(現任)
2017年4月 京都大学大学院 経営管理教育部 経営管理大学院特命教授(現任)
2018年3月 株式会社フェニクシー共同設立、取締役(現任)
2023年6月 当社取締役(現任)
2023年6月 株式会社ディー・エヌ・エー取締役(現任)
久能祐子氏は、新薬開発を2度成功させた科学者であるとともに、アメリカと日本でIPOを経験した連続起業家であり投資家です。社会起業家支援や居住型の起業支援・起業家育成プログラムなどを通して、次世代の起業家育 成に取り組むなど、社会貢献事業でも高い評価を受けています。グローバル経験、テクノロジー・サイエンスの知見と、経営・イノベーションに関する卓越した経験に基づき、当社取締役会において適切な提言・助言を行うことを期待し、社外取締役に選任しています。
また、当社経営陣との間で特段の利害関係がなく、経営陣から独立した客観的・中立的な立場から社外取締役としての職務を適切に遂行することが可能であり、一般株主と利益相反を生じるおそれがないと判断し、独立役員に指定いたしました。